皆様こんにちは。今日のテーマはシャンパンって何だろう?です。最近のニュースでロシアがフランスのシャンパンをスパークリングワインと表記し、自国のモノをシャンパンと名付けるという奇想天外な事をやりました。このニュースを見てあまりにも世間のリアクションがないので、どういうことかも含めて説明していきたいと思います。
ちなみに筆者はタイのワイン業界ではミスターシャンパーニュと呼ばれているくらいシャンパンばかり飲んでいます(笑)
一般の方がまずシャンパンと聞いて思い浮かべる事は
泡が出てるワインでしょ!だと思います。
この答えだと実は100点の回答ではないのです。
実はシャンパンと呼ばれるためにはいくつかの規定があり、それをクリアした場合のみシャンパンと名乗れるのです。つまりただ泡が出ているだけのワインはスパークリングワインでシャンパンではないのです。
では一体どうしたらシャンパンと名乗れるのでしょうか?
- フランス・シャンパーニュ地方で生産されたブドウのみを使用している事。
- 定められた7種類のブドウ品種(現在はほとんど3種類のみ使用)のみを使用する事。
- 瓶内二次発酵を行い澱とともに最低15か月以上(年号記載の場合は36か月以上)熟成をさせる事。
これらの条件をすべて満たさなければシャンパンとは名乗れません。では少し解説していきましょう。
まず1.はそのままなのでスキップ。
2.は使用していい品種が決まっています。主に現在ではピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネ、この3種のブドウを使ってシャンパンを造る生産者が多いです。残りの4種類は古代品種と呼ばれるピノ・グリ、ピノ・ブラン、プティ・メリエ、アルバンヌです。これら4種は現在あまり使用している生産者はおらずごくわずかになります。
3.これが一番ややこしいのでシャンパンの製造方法を説明します。
①白ワインを造ります(ワインの造り方は前回のブログで)。
②異なる品種、畑のワインを自社イメージに沿ってブレンド。
③ブレンドしたワインを瓶詰。その時に一緒に酵母とショ糖を添加して密閉。
④酵母がショ糖を分解しアルコールと炭酸ガスが発生。この工程を瓶内二次発酵といいます。
⑤酵母が澱となり、分解作用で旨味を取り込んでしまうために長期間澱と共に寝かせないといけません。澱と共に寝かせることによって旨味がワインに戻されていきます。なので最低でも15か月という熟成期間が設けられています。
⑥ピュピトルという専用の台にボトルを並べ毎日8分の1ずつ回転させて、瓶口に澱を集めます。(現在はコンピューター制御のものが多い)
⑦澱が瓶口に完全に集まったら、瓶口を冷凍槽に浸して澱を凍らせます。そして抜栓すると中のガス圧で凍った澱の部分だけが飛び出します。
⑧目減りした分だけ甘みのあるリキュール(自社のシャンパンの古酒やショ糖を混ぜたモノ)を添加します。この時の糖度でシャンパンのタイプが決まります。
⑨最後にコルクを打ちラベルが貼られて完成です。
これだけの工程と時間をかけて出来上がるのがシャンパンなのです。
ちなみにシャンパーニュ地方以外でシャンパンと同じ製法で造られたスパークリングワインはフランスはCremant(クレマン)と呼ばれます。
では他の国はどうでしょうか?
イタリアはFranciacorta(フランチャコルタ)スペインはCava(カヴァ)ドイツではSekt(ゼクト)と呼ばれちゃんと他のスパークリングワインと分けて名前がつけられています。
ここまで書けば最初にふれたロシアがいかに無茶苦茶な事をやり始めたかもうお判りでしょう。
昔ながらの規制と伝統を守りながら生産している生産者は全く関係がないのに、ただのスパークリングワインと表記されることをどう思うでしょうか?
昔、ロシアの皇帝の味覚を満たすために生まれたLouis Roederer Cristal(ルイ・ロデレール・クリスタル)があるようにシャンパンとロシアの関係はそんなに浅くなかったはず。政治的背景があるにせよこんな事はすぐに撤回して欲しいものです。
今回はシャンパンがなぜシャンパンと呼ばれるかについて説明してきました。これを理解してシャンパンを飲めば今まで以上の深さを感じ取れるはずです!
それではまた次回お会いしましょう、チョンゲーオ🥂
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